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まず1つ目の目的は、展示する製品や対象物を明るく照らすことです。照明を使って照らすことで対象物を目立たせ、見やすくなります。
しかし単純に明るくするだけではインパクトに欠けたり、逆に見にくくなったりすることも。商材の魅せ方を工夫した照らし方が非常に重要です。
2つ目の目的は、ブース全体を明るくすることです。展示会では、もともと展示場自体に照明がありますが、この照明だけではブースを目立たせることはできません。だからといって照明を多く使用すれば、明るすぎて目が疲れる空間になってしまうでしょう。
また照明は熱を持ちますので、多用するとブースの中が暑くなり来場者に不快感を与えてしまいかねないのです。そのため、最低限の照明でいかに明るく見せるかがポイントになってきます。
展示会ブースは、暗いよりも明るい方が目立つため、来場者の目にとまりやすくなります。しかし、明る過ぎると目が疲れたり熱を持ってしまったりするため、程よい明るさを表現することが大切です。ブースの照明を敢えて暗くし、看板や展示物にスポットライトを当てるという演出もありますので、単純に「明るければよい」というものではありません。出展で伝えたいメッセージやブランド・商材のイメージも踏まえて、適切な照明を考える必要があります。
使い方次第でブースの注目度が大きく変わる照明。出展前に、基本的な知識を身に付けておきましょう。
少ない照明器具でブースを明るく見せるには、いくつかのポイントがあります。その中には初心者でも手軽に実行できるものもありますので、ここでは基本的な3つのポイントを見ていきましょう。
照明を取り付ける際は、通路から最も大きく見える部分を明るく、小さく見える部分を暗くし、視界の中でコントラストをつけるようにしましょう。
人の視界というのは、明るく見える部分が大きければ「明るいブース」と認識するものですので、大きく見える面に強い光を当てれば、それだけでブースの印象も明るくなるのです。
ブースで使用する照明は大きく分けて「昼白色タイプ」「電球色タイプ」の2種類に分けられます。一般的に昼白色タイプは昼間に輝く太陽の色に近いことから活動的な印象を与える、電球色タイプは夕日の色に近いためリラックス効果があるといわれています。どちらがより集客を高める、というわけではないので、出展に合わせて照明タイプを使い分けてください。
企業のイメージやブースのデザイン、雰囲気に合わせて適切な照明を使い分けるようにしましょう。
展示会ブースでの照明は、来場者目線で照明を当てるというのが基本です。万が一照明が来場者側に向いていれば展示物が見にくくなるだけでなく、ストレスを与えてしまう可能性もありますので、極力真下に向けて設置するようにしましょう。
また、展示物を見やすくしようと直接強い光を当ててしまうと、光が反射して逆に見にくくなったり、展示物に損傷を与える可能性もありますので、明るさや向きを調整しながら設置するのもポイントです。
展示会に何度も出展する場合は、自社で照明を購入しているという企業も少なくありません。そんな中、照明の留め具が隣や後ろのブースに干渉してしまうといった経験はないでしょうか。留め具の干渉は場合によっては迷惑行為になってしまいますので、しっかりと対策を行いましょう。
もっとも簡単な方法は、留め具が干渉するブースに前もって了解を得ておくという方法です。留め具をあまり気にしていない企業も多いですので、意外とすんなり了解を得られるかもしれません。
しかし、中には良く思わない企業もいますので、そういった場合は以下の対策を行いましょう。
アルミ製のシステムパネルを使用している場合は、パネルの上部に4.3mmほどの溝がありますので、この溝に木片をかませれば照明のクリップをきれいに固定することが可能です。ただ、木片は来場者からも見える状態になりますので、見た目にこだわる方は気になるかもしれません。
4.3mmの溝に合う4mmサイズのステンレス板をU時に曲げ、そこに照明のクリップ部分を固定すれば、パネルに照明を取り付けたかのように照明を固定することができます。業界ではこのステンレス板のことを治具といい、ブースを設営してくれる業者さんや職人の方にお願いすれば、照明器具にピッタリの治具をつくってくれます。
1度作っておけば出展の度に使用することができますので、タイミングを見計らって依頼してみるとよいでしょう。
オフィスで使うのとは異なり、ブースの照明は単に明るくすれば良いというものではありません。自社ブースの状況だけでなく、周りの状況も、ベストの照明数を見極めるのに考慮すべき要素のひとつです。来場者は一つのブースだけを見ているわけではありません。自社ブースは、周りのブースに囲まれている状態で存在するため、周囲の明るさも考慮する必要があるのです。
例えば、周囲のブースが照明をフルに使って明るい空間を設営しているにもかかわらず、自社では照明をほとんど使用しないという状況では、来場者から見た印象もあまり良くありません。遠目に見るとブース自体が沈んで見えるので、有力な商談相手にも近寄り難い印象を与えてしまうかもしれないのです。やはり、遠目に見た際に、明るいブースの方が来場者は注目しやすくなります。
反対にあまりにも明るすぎるブースも、中に入りづらい印象を受けます。眩しすぎて製品情報が見にくく、相手を疲れさせてしまう場合も。展示会場で浮きすぎず沈みすぎず、ちょうど良いバランスの照明を設置するには、実際に展示会に来場者として参加して、手ごろなブースの照明装飾をチェックすることをおすすめします。
例えば、似たような系統の展示会を視察し、自分が居心地良いと感じるブースを見つけ出して、照明の設置方法をメモしておくと良いでしょう。
最適な照明の設置には、ブースの高さも関係します。ブースの高さが2700mm以内であれば、スポットライトやダイクロハロゲンなどの光が弱い照明がおすすめです。LED照明などの照度の強い照明器具を取り付ける場合は、ブースの高さが3600mm程度から。照度が強い照明は、長時間過ごすには目への負担が大きいのです。来場者はほとんどの場合、短時間の来訪で終わりますが、設営スタッフは会期中のほとんどをブース内で過ごすため、照明が強すぎるとストレスになります。
新設されたばかりで展示会場内が明るい場合は、照明の数も少なくて済みます。東京ビッグサイトの場合は、東7・東8ホールの照明が特に明るく、照明器具をあまり必要としません。照明を多用しても予算の無駄遣いになるだけなので、展示会場の明るさも事前にチェックして、効率的な設営を行いましょう。
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照明をうまく活用して来場者の目の引くブースに仕上げるために、照明の効果的な使い方をいくつかご紹介します。
ブース上部に設置されたサイン看板の上に、スポットライトなどを取り付け、看板を照らす使い方です。一般的に利用されている方法で、ライトの向きを斜めにしたり、ブースの角に取り付けたりなど、工夫しているブースもあります。
高さのあるブースの場合は、上部看板の上にLEDライトをたくさん設置し、看板と同時にブース全体を明るく見せる方法を採用しているブースもよく見かけます。遠くの来場者から見つけやすく、ブース内の展示物にあてる照明も抑えられるので、展示物が見やすくなるというメリットがあります。
木工ブースの壁の厚みを活かし、半透明のアクリル板で取り付けた企業ロゴに、裏側から照明をあてて目立たせる方法です。照明器具が目に入らない分、デザイン性もアップして、オシャレな印象になります。
「ファブリック」と呼ばれる防火布で装飾し、そこに照明をあてる方法があります。間接照明の柔らかな雰囲気が幻想的な空間を演出するため、落ち着いた印象に仕上がるでしょう。また、「オメガトラス」と呼ばれるシステム資材の中に、蛍光灯を設置する方法もあります。シンプルなシステム資材で構成されたブースは、照明機器を組み合わせることでデザイン性が上がります。
壁の外側にもう一枚壁を作り、間に照明を挟むことで、間接的にライトアップできる方法があります。柔らかい照明の光が演出できるので、インテリア棚などを組み合わせるとオシャレな雰囲気に仕上がります。また自由度の高い照明器具として、LEDライトのテープ式のものがあります。薄くて目立たないため、展示台の縁に貼って商品を目立たせたり、什器の下に貼って足元をライトアップしたりすることも可能です。
大型LEDディスプレイは、パソコン画面やテレビ、販促ポスターなどの画像を映し出せるだけでなく、照明器具としても活躍します。目新しい照明器具は、来場者の注目を集めやすいためおすすめです。大型LEDディスプレイは、単体でも数枚つなげても使えるので、大きなモニターを作って目立たせられます。
「LEDライトパネル」は、パネルの内部にLED照明をおさめた照明器具です。パネルの中に、製品情報やサービス内容を記載したグラフィックスを入れ込んで照らします。アクリルフレームタイプのものは透明感があり、スタイリッシュでよく目立つので、展示会場では度々登場するアイテムです。
通路側などに設置されるサインディスプレイにLED照明を内蔵し、照明器具として利用する方法です。内蔵するLED照明によって何色かのカラーに変化させることも可能で、来場者の目を引く演出ができます。展示会終了後にも、会社のエントランスや他の展示会、イベントなどで再利用できるので経済的です。
立体装飾を施した壁面に、スポットライトなどで斜めからライトアップして陰影をつくり、印象的なブースに仕上げる方法です。壁面展示が多い場合におすすめです。